
─プロローグ─
引き篭もっていた日々。
読書ばかりしていた毎日。
本さえあれば一人でも生きていける。
本さえあれば、たとえば竜と戦う果敢な勇者、たとえば学園のアイドル、たとえば恋にこがれるお姫様、それらすべてになりきることができる。
本さえあれば何も要らない…。
そう思っていたわたしの前に颯爽と彼女たちは現れたのです。
「強敵…いやもうラスボスが現れたんだ、おまえの力が必要なんだぜ」
そう彼女は訴え、わたしの手を引き、私を箒に乗せます。
「一体なんなんですか…」
わたしは久々に開け放たれた窓から差し込む光に目を細めながらそう訊きました。
「わたしたちか?
幻想郷にはびこる悪を成敗する、どちらかといえば正義の味方…
人呼んで…」
「幻想バスターズだぜ!」
そう言い放ち彼女は最大出力で飛び立つ───…わたしを連れて。
「うぉーい、状況はどうだい?」
わたしの手をひく魔女ルックの魔女、霧雨魔理沙は博霊神社の倉庫の物陰に隠れて何かを見ていたチルノと魂魄妖夢にへらへらと質問をします。
「やばいよー完全に殺る気だよー」
チルノは何かにビクビクしながら魔理沙の質問に答え、
「魔理沙!主犯がどこほっつき歩いてたんですか!?」
妖夢はプンプンと怒りながら逆に魔理沙を問いただします。
「いや、ほっつき歩いてはいないぜ、なにせ飛んで──」
「そういうのはいいですから!!」
魔理沙は即効でツッコミを入れられています。どうやらこちらの切れ味も鋭いらしいです。
「いやねぇ、ちょっと助っ人を…」
魔理沙はやれやれといった感じで答えています。
妖夢はお堅すぎるなぁ、と魔理沙のため息が語ります。
どうやらわたしは助っ人として拉致されてきたようです。
「助っ人ぉ?巻き添えじゃなくて?」
ピンク色の頭からウサ耳を生やしたケバい風俗嬢みたいな奴が会話に割り込んできました。
「だれが風俗嬢だ!」
…声に出てしまったようです。
「うどんげ、君は何もわかっていない…」
「だから風俗嬢じゃ…」
「わーってる、それじゃなくて」
魔理沙はふぃーっと息を吐いて、
「アリス、言ってやりな、この風俗嬢に!!」
「わかってないじゃない!!」
「バカねウサギは。巻き添えじゃなくて、人柱よ。」
なんと私は助っ人から生贄に2階級特進のようです…いや殉職してないですが。
それはそうと、お人形遊びが大好きで、毎日一人遊びで自分の世界にトリップしてそうなクサレツンデレの分際で随分と言ってくれます。
「すけっと、すけっと」
アホ面して猫又がぴょんこぴょんこしてます。少々イラっときました。
「よーしよし、橙はちゃんとわかってるな。ほれ輪ゴムやるぜ」
「わごむ、わごむ。びょ〜ん、びょ〜ん。」
「ちょっとあんたら、なにをのんきに…あ゛っ!?」
チルノがバカみたいな声をあげます。あ、いやバカです。
何事かとチルノが見た景色を見ようと物陰から顔をのぞかせると…。
(写真提供はあれです、あの天狗のやつ。影でこそこそ撮ってやがるんですね、マジキモイですね。)
…ぐつぐつ
神社の主、博霊霊夢は山形県の芋煮にでも使いそうなサイズの鍋を火にかけていました。
ぐつぐつという、本来なら食材の香りなどとの相乗効果で食欲をさそわないこともない音ですが、今はただ水を沸騰させ、お湯という名に変化させた液体が入っているだけで、なんとも不気味な感じです。
さらにはその巨大鍋の隣にはギロチンが置いてあるワケでして…
そうギロチンです。
二本の柱の間を斜状の刃が落ちていく、フランス革命頃から処刑用として使用された断頭台で、ルイ14世なんかもアレで逝ってます。
「え…えぇえぇぇええーっ!?」
魔理沙が私の上から驚いた声をだしています。
私の上から覗いて同じ光景を見たようですが、わたしと魔理沙では事情を知るものと知らぬ者との差があるようです。
「あのヤバイ目…魔理沙、あの脇毛巫女はあたいらを殺す気じゃないよ!」
「喰 う 気 だ !!」
「な…、饅頭を盗み食いしただけだぜ!?あとチルノ、おまえ脇毛巫女って一文字余計だからな」
霊夢に脇毛生えていたらそれはもう大変です。…いろんな意味で。
「?? …脇毛女?」
女性のあだ名にしてはかわいらしさが少々…いや欠片も感じないあだ名ですね。
完全に脇の処理をしない気持ちの悪い感じの残念な女です。
きっと中学校で男子に脇毛見られた女子がつけられそうな感じです。…どんな状況だ。
はぁ、と魔理沙はため息を一つし
「脇巫女な」
と教えますがどうせこのうすらトンカチは30秒もしないで忘れることでしょう。
わたしを含めた6人(アホ面の猫又はどうせなにも考えてないので実質5人)がギロチンと巨大鍋についての作戦会議をしています。
どうやら神社のお供え物の饅頭を盗み食いしたことで年中貧乏で明日の生活もどうなるかわからない貧相な巫女の貴重な食料が失われ、霊夢がマジギレしているようです。
きっとあの巫女衣装も脇の布の分の費用を浮かせるために違いありません。
すると風俗うどんのからの提案が──
「やっぱりちゃんと謝ったほうが──」
「バカ野郎!いやここに野郎はいないが…。そんなことしたら景気よくうさぎ鍋だぜ?」
一瞬で却下されました。
「なべーなべー」
鍋と聞いて何一つ状況を理解していない猫又が呑気にアホ面でよだれを垂らしています。腹立つからぶっとばしていいですかね。
「そもそも魔理沙とバカと橙が盗んだんですから3人で仲良く鍋にされてくださいよ」
相も変わらず切れ味の鋭い言葉でばっさり切る妖夢。
「そうよ、だいたい魔理沙が──」
毎晩、魔理沙とのないことないことを妄想しながらハァハァしている残念な変態人形使いもツンデレっぷり炸裂で文句を言います。
その五月蠅いピーピー声を聞くだけでわたしはもうイライラです。今度一発シメてやろうかと思います。
「おまえらなー…わたしたちは仲間だろ?仲間は助けあってだな…」
「どうでもいいけどわたしを巻き込まないでくれますか?いやホント」
言っても無駄だとは知っていますが一応。めんどくさいことは勘弁ですので。
「まちな…」
謎?の声に振り返ると、1人作戦会議に参加していなかったチルノが頭に饅頭をのせて仁王立ちしています。馬鹿の行動はまったくもって度し難いものです。
「おいチルノ、頭に饅頭のせてどうした?アイツにそんな“はした饅頭”やったところでもうどうにもなんないぜ?」
魔理沙が諭します。しかし、“はした饅頭”という単語にそこはかとなくバカな香りを感じるのはわたしだけですかね。
「あたいが脇毛巫女をひきつける、その間に…」
案の定、先ほどのことは忘れているようです。これだからトリアタマは…
「ま…まさか…」
よくわかりませんが魔理沙とチルノは意思疎通ができている様子です。
チルノと意思疎通を図るなんて、わたしは死んでも勘弁願いたいものですが。
「後は、たのんだぜ」
チルノは親指をぐっと立て
「うおらーっ!脇毛覚悟ーーーーっ!!」
「チ…チルノーーーっ!」
霊夢に向かって突貫しました。だから脇毛じゃないですから。
まぁ完全に死亡フラグですけど。
怒り狂った今の霊夢の戦闘力は“超ベジータ”のそれに匹敵します。
すると魔理沙が
「チルノ…」
どこからともなく
「おまえの犠牲は忘れん!」
八卦炉を取り出し…
「かー めー ○ー めー…」
「波ーっ!」
「!?」
八卦炉から勢い良く飛び出したか○はめ波(マスタースパーク)は一瞬で霊夢とチルノを飲み込みました。
「あばばばばばばばだばだだべばばだばーーーっ!」(チルノの叫び声…もとい断末魔)
ご愁傷様です。
合掌。
チルノは見事にこげこげです。
「ん…なこと、たのむ……か…」
そう告げるとチルノはその場に倒れました。
どうやら魔理沙とチルノの意思疎通は微妙に食い違っていたようで、生贄はわたしではなくチルノに変更になったようです。
「チルノーっ!」
幻想郷の澄み切った青空に魔理沙の悲痛?な叫び声だけが木霊しました。
なんですかねこの茶番。
「すまんチルノ、だがおかげで敵は倒せ──」
ガッ(擬音です)
魔理沙の肩が誰かに掴まれたようです。
ちなみにこの時点で既に私とうどんとツンデレフランスパン、そしてうどんの服にひっついてきた猫又は遠くの物陰に隠れてこの様子を見ています。
魔理沙が恐る恐る振り返ると霊夢が鬼、いや大魔王レベルの形相で立っているではないですか。
「や…やあ霊夢、生きてたのか?」
魔理沙もご愁傷様です。
合掌。
どうやら生贄は2人だったようです。
霊夢はさすがで、とっさに札で防御をとり、その後回避したらしく、服こそボロボロになったものの、元気そうに魔理沙に報復しようとしている様子です。
「い…いいねぇそのボロボロの古着ファッション。今度教えてもらおうかなー…なんて…は…は…はは……」
魔理沙の乾いた笑いが境内に響きます。
完全に自業自得、因果応報という言葉がジャストフィットする状況です。
「い、いやこれには深いワケがっ!」
いかにも、とってつけました、という台詞の代名詞しか出てこない始末。
「なぁ、みんな───っていねぇ!」
はい、ずいぶん前から誰もいません。
見事にひっかかってくれました。ごちそうさまです。
「いだっ、ちょ、霊夢、目はやばいって、いた、だから目は…ぎゃーーーーーーーーーーーーっ!」
………。
「熱い!熱いっつーかもう痛い!いやこれマジでシャレになんないぜ!」
………。
「おい霊夢、まさかその紐は切らないよな…?いやそれはマジで首とぶから…あ!!」
………。
「ほら!霊夢、あそこにいっぱいいるぜ!おーいおまえらー!」
「げ!ふざけんじゃねー!」
うれしそうにこちらを指差す魔理沙とギラリと目を光らせこちらを見る霊夢、魔理沙に怒号を飛ばす横の二人。
当然ながらわたしも標的にされています。ほんとにくそやろうですね魔理沙は。
「ほら、おいしそうなうさぎまで居やがるぜ霊夢。今夜はウサギ鍋かい?ひゅーひゅー豪勢だねぇ。おや、猫までいる。今夜は宴会かな?」
魔理沙の煽りに霊夢の目の色が変わっています。
「魔理沙のバカー!」
走り出すうどんげ、わたしもじっとしているわけにはいかないので逃げます。
「え?ちょ、ま!うわっ!」
ひとり出遅れたツンデレ小娘が霊夢に捕獲されました。
「ぃやったぜー、ひゃっふーっ!いけいけー!」
なぜか喜ぶ魔理沙。
「…魔理沙、あんた覚えときなさいよ」
「わすれたぜーいやっほーい!」
………。
何故魔理沙はこんなにも楽しそうなのか?
何故わたしは走っているのか?
何故わたしは追われているのか?
わたしはなにかしたのだろうか?
実はわたしは関係ないのではないか?
何故わたしを連れてきたのか?
何故わたしなのか?
さまざまな疑問が浮き上がってきましたが、いくつかは明確な答えが出せませんでした。
しかしひとつだけはっきりとわかったことがあります。
そう、この日から──
わたしの騒がしい日常が始まったのです。
─プロローグ 完─
─あとがき─
こんにちは、いしもです。
二次創作です、パクリです。
Aという作品とBという作品を足したらすげーおもしろくなるというわけのわからん理論と勢いと若さで書いたSSです。
友人がSLGつくろうぜ!という無謀な企画の下に書き始めた物なので主人公視点のSLG調です。
当然のように計画は破綻して今に至るわけですが。
つーか例大祭でこれを漫画化したんですが、どーも時間と画力、構成力の全てががおっつかないでかなり不満の残る超駄作となりました。(ちなみに黒いワンピの獄卒獣みたいなのが霊夢です)
はじめてのコピー本で綴じ方も間違えてましたし。
ちなみに改善点はパチュリーのセリフを敬語にしてみました。あとはなんか時間とか画力とかの都合でいれられなかったネタとか。
まぁこっちもたいしたことないんでその程度だと思って読んでくださいな。
一応パスターズメンバーは 魔理沙 チルノ 妖夢 アリス うどんげ 橙 パチェ です。
そんなこんなですが(どんなだ)、まぁなんだ…とりあえずなにが言いたいんだおれ。